外向きのブログ

『月と六ペンス』感想

『月と六ペンス』モーム(光文社古典新訳文庫)を読んだ。人に勧められたうちの1冊。岩波訳か新潮訳で勧められて、私も昔はだいたい新潮訳を選んでたけど、Kindle版があった光文社で。

 

 

読んでいる最初はつい最近出た本かな?と思うくらい人間の描写が普遍的だった。

 

モームは医者をしていたときにさまざまな階層の人々を見てきたので、その経験が生きているという。

 

じゃっかん時代背景や女性観については疑問があったけど、まあそれも今でも通用するとこもあるかなと。

 

そして『月と六ペンス』は芸術家、ストックランドの半生を独身の男性(モームの分身)が追っていくストーリーだけど、最後の解説ではモームの人生、同性愛、時代背景が紐解かれている。

 

ストリックランドはゴーギャンをモデルにしているけど、架空の人物。

 

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ストリックランドは破滅的な芸術家のステレオタイプなのにたいし、モームは通俗作家として同時代でも評価され、91歳まで生きて、現在も彼の作品は読み継がれているという対比が面白いかも。

 

そして通俗的な作品に彼の時代では隠さなくてはいけなかった同性愛が暗号化されているように、他の作品も裏をみて読むと面白そうと思った。