【読書メモ】山崎豊子『女系家族』
※ネタバレ注意
大阪の伝統的商家の話だった。自分のルーツが大阪のそういう家なので、親戚の集まりの雰囲気など少しわかるものがあった。山崎豊子はたしかに大阪を舞台にした作品書いてたけど、彼女の出生が船場なのは知らなかった。大阪は「私にとって私の血液そのもの」とまで語っていたことに驚いた。
しかし、その船場の伝統的商家の代々続く女系(にょけい)家族の解体がクライマックスで提示される。
四代を重ねた 女系家族に終焉を告げ、男系家族の 楔を打ち込むような 凄じい響きが聞えて来るようであった(446貢)。
本作後、山崎豊子さんの小説自体も、大阪船場から離れ『白い巨塔』など社会派ーー男社会を描いたものにシフトしていく。
「ジェンダー論には女性性のまがまがしさの観点が欠落している」っていってた人がいて、そのときは主観的な意見だなあと思ったけど
山崎豊子が本書で示した強いメッセージ「女系家族を解体せよ」、そして女性たちの執念の深さの描写を見ていると一理あるのかもしれないなあ、なんて関係なさそうなことを考えたりした。
まあ、本作後の『華麗なる一族』は所謂男系家族の物語といっても良いけど、華麗なる一族の男系家族も結末で崩壊することになるが……。
そして、あの終わり方だと三女の雛子ちゃんが男系家族に嫁ぐことになりそうだけど、それはそれで大変そう。
女系家族は2005年、華麗なる一族は2007年にドラマ化されている。現代だとどう受け入れられるか気になる。