外向きのブログ

エンターテイナーとポピュリズム 恩田陸『蜜蜂と遠雷』感想

 

直木賞本屋大賞のW受賞(史上初)を果たし、映画化も決定された恩田陸の『蜜蜂と遠雷』。ピアノずっとやってた子に勧められたので読んでみました。

 

f:id:yukiringam:20190411010834j:plain

https://www.fashion-press.net/news/44041

読書メーターでも絶賛の声が多かったけど、私はあまりピンとこなかったかも。

良くも悪くも大衆小説。汚い感情もきれいな言葉に昇華するけど、人物に人間味があまり感じられない。そんな風に感じてしまって、恩田陸はもともと他の作品も苦手だったんです。

だから本作は評判が良いのを見て読んでみたけど、今回も同じ感想だった。

 

表現力には度々「流石わかって書いてるな〜」というところもあったけど、そうして技巧を駆使して出来上がった小説かな。

でも、たぶんそういうのを好きな人のほうが世の中に多いのだということも織り込み済みで書いているのだろうなという感じ。

 

映画にしたら松岡茉優もいるし映えると思う。(もしかして最初から映画化ありきだったのでは?とも思った)

 

エンターテイナーなのに、ポピュリズムには走らない。華やかでチャーミングなのに、どこかにぞっとする。

 

前に読んだ作品でもこうした「天才だけどどこか孤独で冷徹さを感じる」みたいな描写をした登場人物がいた気がするけど、どの作品だったか忘れてしまった。。。

 

安定して大衆にウケる小説を描けるのはすごいと思う。繰り返すが、映像にしたら映えるし部分部分ごとに切り抜いて取り出してみたら光るものはあるので、そういうのも含め今っぽい小説なんだと思う。